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尺八の五線譜は移調譜が良い [尺八演奏]

五線譜の書き方には「実音譜」と「移調譜」という二つの方法がありますが、尺八の場合は「移調譜」のほうが良いというのが結論です。最初に尺八の管長を指定しておけば正しい音高で演奏することが可能です。

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邦楽曲の中で一番有名な宮城道雄作曲「春の海」の冒頭部分です。余談ですが、没後50年が過ぎて著作権フリーになっていますので例題として使いました。

作曲者はこの曲を1尺6寸管で吹くように指定しています。出だしの実音は、装飾音がD音ですぐ後ろに2拍のE音が続きます。実音のとおりに楽譜を書くと上段のとおりです。

もし、これを1尺8寸管で実音どおりに吹こうとしたら運指が違ってくるので大変です。尺八の長さはこれだけではありません。1尺4寸から2尺3寸ぐらいまで1寸刻みの長さのものが使われますから実音譜を見て吹くためには長さの違う尺八の数に対応する運指を使い分けなければならなくなります。しかし、実際にはそんなことはほとんど不可能に近いことです。だから尺八の楽譜を五線譜で書く場合は下段のように1尺8寸管の実音表記をベースに移調譜の扱いにした方が演奏しやすいというのが今回の話です。

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楽譜の方向を90度回転させてみました。移調譜の脇に縦書きで書いているのが都山流の尺八譜です。尺八譜は音高ではなく運指の仕方をカタカナで表しています。

尺八は1寸長くなると半音低くなり、逆に1寸短くなると半音上がります。でも尺八譜はそんなことには関係なく、例えば指孔を全部塞げばどの長さの管でも「ロ」と表します。つまり尺八譜自体が移調譜になっているということです。

移調譜が威力を発揮する良い例は民謡の伴奏です。歌う人のキーの高さはさまざまですので1本の尺八で対応しようとするとある人のときは楽譜通りで上手くいったとしても別の人のときは全体を5音半下げてとか、1音半上げてとかということになります。だから、歌う人の声の高さに合った長さの尺八に持ち替えをしています。そうすれば運指は変えずに楽に伴奏が出来るのです。

ですから尺八の五線譜も使用頻度の多い1尺8寸管の実音表記をベースにして移調譜の対応をした方が良いと思っていたのですが、若手の著名な尺八演奏家が書かれた尺八入門書で1尺6寸管の五線譜が実音表記で書かれていましたので、reizanごときが移調譜が良いと主張してもどうなるものでもないと思っていました。

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ところが、人間国宝で都山流尺八演奏家の山本邦山さんの著書「尺八演奏論」の中に、『《春の海》を五線譜で表す場合も、「実音譜」ではなく、作曲家が指示している移調管一尺六寸管(E管)の奏法譜に基づいた「移調譜」で表すのが本当である。』という一節がありました。また、同氏の著書「五線譜による尺八教則本」のなかにも同じ趣旨のことが書いてありました。

この方法が定着すれば、五線譜の下第一間に音符があれば「ロ」の指使い、第一間にあれば「ツ」の指使い、第二線にあれば「レ」の指使い、第二間にあれば「チ」の指使い、というように尺八を吹く側としては1尺8寸管に対応する五線譜の見方だけを覚えれば良いことなります。そうすれば五線譜で尺八演奏というのもそれほど難しいことではなくなります。

移調譜というのは洋楽でも結構使われているのですが、典型的な例外がリコーダです。reizanが子どもの頃にならった楽器といえばリコーダでした。ソプラノリコーダは良かったのですがアルトリコーダに進んだ途端についていけなくなりました。リコーダ系は実音表記が標準になっているため、例えばファの音を吹くときにソプラノでは右手の中指から小指までを開けますがアルトは全閉となり運指の仕方が全く異なります。プラスチックのリコーダは楽器のなかでは安価な方ですが、アルトの演奏を考えると子ども向きとは言い難いような気がします。

最後の写真は、ある講習会で山本邦山さんから直接いただいたサインです。reizanの宝物です。

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