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この本は変ってる [推薦図書]

図書館で借りた本ですが、これほど変な本に出会ったことがありません。嬉しい驚きです。

日本語のために_0001.jpg

外見はソフトカバーの普通の本です。ただしページ数は524ページもありますから見た目は辞書のようです。

ところが中を見たらビックリです。章立てを追ってみますと、
  1. 古代の文体
  2. 漢詩と漢文
  3. 仏教の文体
  4. キリスト教の文体
  5. 琉球語
  6. アイヌ語
  7. 音韻と表記
  8. 現代語の語彙と文体
  9. 政治の言葉
  10. 日本語の性格
となっています。

「はじめに」によりますと、この本は「日本文学全集」(河出書房新社刊)全30巻の中の一冊でした。

日本語のために_0002.jpg
《画像クリックで拡大、←クリックで戻る》

読者が見て変わった本ですが、著者も他とは趣の異なる一冊になるだろうと書かれています。

特定の文学作品でなく、さまざまな文体のサンプルと日本語に関する考察を集めています。日本語とはどいうものかということをざっと見渡す役割を負っているようです。

日本語というタイトルですが、琉球語とアイヌ語も取り上げられています。それは理解できたのですが、もう一つケセン語というのが取り上げられていました。
今まで日本の国からほとんど出たことがなくて、日本の文化にどっぷりつかってきたつもりでしたが、ケセン語というのは聞いたことがありません。

なにかと思ったら気仙地方(大船渡市、陸前高田市、住田町)のことばでした。
本書の中では、「マタイによる福音書」のケセン語版が紹介されています。ユダの裏切りとか最後の晩餐の場面が出てくるのですが、「最後の晩餐」の一部を引用(フォントの関係で原文通りにできないところがありますが、できるだけイメージは近づけるようにしました。)させていただきます。興味をお持ちになったらぜひ本書をお読みください。

最後のお膳
 みんなァお膳かごんでだどきに、ヤソァ パン取って、神様ァどご ただえる祈りィ捧げ、せァで、ですィァど(弟子等)さ分げでけ(呉)ながら かだ(語)りやった。
「取って食いなれ。これァ、俺ァかばね(体)だ。」
それがら、さかずき(杯)ィ取って、(中略)
「みんなァ、この さかずきィ飲みなれ。これァ、とんが(科)ァ許されるようにって、みんなのために流す俺ァ固めの血だ。」

これを翻訳した人は、信仰の言葉は信徒の耳に直に届かなければならないと考え、そこに住む人々にとって唯一無二の日々の言葉であるケセン語に翻訳したそうです。

変ってるけど面白い本です。

全集の他の本も、「源氏物語」(角田光代訳)、「たけくらべ」(川上未映子訳)など異色の組合せで意外性十分です。
角田さんは、「対岸の彼女」で直木賞を受けたほか「八日目の蝉」や「紙の月」が有名ですし、川上さんは「乳と卵」で芥川賞を受けた作家で詩人で歌手で俳優というマルチタレントです。こういう人がどんな訳をしているのか、興味が湧きます。

ただ、死んだ後のことを考えたら物を残さないようにしないといけないので、昔、世界文学全集や日本文学全集を買ったのと同じ行動をしてはダメだと思っています。


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