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調絃の共通言語を模索しました [三曲]

楽器の「こと」を表わす漢字に「琴」と「箏」があります。(竹冠の下に争うと書く「筝」は中国筝に使われるようです。)

学校で習う漢字は「琴」だけですから筝曲の箏も「琴」と書いてしまう間違いを見かけることがありますが、両者は意味が全く違います。

おおまかな分類では、①各弦の音高が決まっているのには「琴」の字を当て、②移動式のフレットで各弦の音高が変えられるものに「箏」の字を当てます。

一般的な箏には13本の絃が同じ緊張状態で張られています。
何故かというと、箏の調絃では、隣の絃と半音違いにすることもあります。低い音ですと半音でも余裕で間隔が取れますが、高い音になると絃の張り方が同じでないとお互いの柱(じ)が干渉する恐れが出てきます。だから箏の絃を自分で張る人はほとんどいません。大抵は箏屋さんにお願いして張っています。


ということで、箏の調絃に関して問題が起こることはないはずなのですが、ちょっとした混乱をしてしまいました。原因は調絃の言葉がいろいろあってどれを使うかその人次第だからです。

いつも地元三曲協会の演奏会で共演していただいている山田流の絃方の先生から、「新高砂」の助演を依頼されました。曲の難易度としては中伝曲ですからそんなに難しい曲ではありません。

ところが、他の曲の合同練習の際にその先生から「新高砂」の音高を聞かれました。その場ではわからなかったので帰宅してから回答することにしました。普通は改めて音高を訊かれたりすることはないのに不思議な感じでした。

尺八の音譜を当たってみたら次のように書かれていました。

新高砂_0001.jpg

箏の調子は「一下がり雲井調子」。注釈として、「雲井調子に調絃の後一の絃を二律下げたるもの故合奏するときはロを一絃に合す」と書かれています。

絃の先生に電話をして、「ロ一(ろいち)で、雲井調子に合わせて、その後で一の絃を一音下げてください。」とお伝えしました。ところが、「ロ一」は尺八独自の言葉ですから通じません。「一の絃を先ず壱越(いちこつ)に」 というのもだめでした。

「まずDに合わせて、あとからCに下げて」と言おうかとも考えたのですがご高齢の先生ですからと躊躇しておりましたら、先生が「六本に合わせると言われたことがあります。」と仰いました。
「そうです。そうです。六本に合わせて雲井調子にして、そのあとで一の絃を一音下げて四本にしてください。」と申し上げました。

「ロ一(ろいち)」というのは尺八吹きには普通に通じる言葉ですが、同じことを表わすのに、洋楽ですと「D」、これを日本の昔からの音名になおすと「壱越(いちこつ)」(これをハニホヘの音名では「ニ」と呼んでします。)、さらに主に民謡などで使われる六本という言い方があります。余分なことを付け加えますとドレミの「レ」という言い方もあります。

整理するとこうなります。

  「ロ」 = 「D」 = 「壱越(=「ニ」)」 = 「六本」 = 「レ」

絃方の先生がこのうちのどれに馴染んでおられるかを素早く探って、通じる言葉を使わないといけないので刺激的です。
下手に通じない言葉を積み重ねていくと、最後に通じる言葉に行き当たってもそれまでの訳のわからない言葉が邪魔して真意が通じないことがあるのです。

生田流と山田流の代表的な譜を見たら調絃の指示が次のように書かれていました。

新高砂_0003.jpg
《生田流》

新高砂_0004.jpg
《山田流》

尺八譜を含めてすべてが微妙に違う書き方をしています。でも調絃の結果はすべて同じになります。

山田流の音譜を見て気付いたのですが、絃の先生が混乱した原因は「尺八 ハ」にあったみたいです。尺八の「ロ」とか「レ」に合わせるというのはよく出てきますが「ハ」というのは珍しくて、しかも、尺八と合わせるときの手順としては最初に「ロ」に合わせると聞いているのに、いきなり「ハ」に合わせるということは音高が違ってくるのかと勘違いされたようです。

1尺8寸管の尺八の「ロ」が「D」になることは絃方の先生も大抵はご存知ですが、「ハ」の音高となるとご存じでない先生がおられます。琴古流では同じ音高を「リ」と表しています。琴古流尺八と合わせることの多い先生は「リ」だったらわかるのに、「ハ」て何ということになるかもしれません。


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