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「はずみ音」というルール [尺八解説]
これから先4か月ぐらいの尺八課題曲を予定表に従って練習していますが、「千代の鶯」で思わぬ落とし穴にかかってしまいました。
それはこういうことです。
「千代の鶯」は全体で25分もある曲ですが、「前唄」、「手事初段」、「二段」、「三段」、「二上り」、「手事」、「後唄」で構成されています。
前唄の4小節目から「倍徐」の指定があるのですが、これは、それまで4分音符を1拍で吹いていたとしたらこれからは2拍で吹きなさいという指定です。4分音符だけでなく8分音符でも16分音符でもすべて倍です。勿論、休符も倍になります。
出だしは「中庸」(ミディアムテンポ)ですから倍になっても大したことないようですが、reizanにとっては大問題です。根が短気で、てれてれするのが嫌いですから間が持ちません。つい先走って音を出してしまいます。
それでは絃方に迷惑をかけるということで「倍徐」の部分を2倍に書き直しました。それは4/4が8/4になるような書き直しです。
4分音符だったら2分音符に、8分音符だったら4分音符に、16分音符だったら8分音符に書き直すだけですから簡単だと思ったのです。変更後、1小節の中に8拍あればOKというチェック方法もちゃんと考えました。
ところが、16分音符を8分音符に変えてしまったものだから「はずみ音」で吹くべきところが見えなくなってしまったのです。
「はずみ音」というのは陰旋法の曲を演奏するときに、次の条件に該当した箇所の最後の16分音符の音をはずむように演奏します。
- 対象箇所は16分音符であること。
- 該当音を含む対象箇所は指孔を全開または全閉する音またはメリ音(メツ、メハ)であること。(対象箇所の16分音符に半音があれば該当しない。)
- 下降旋律であること。
「千代の鶯」に「はずみ音」は何か所も出てきますが20小節目を例にとります。左の譜を右のように演奏します。
⇒
言葉で表すと、左が「ロ八チーーーチレツー」とすると、右は「ローハチーーーチーレツー」という感じになると思います。
それを機械的に倍の長さに変えていったものですから失敗作は次のようなものになりました。これでは16分音符であることという条件から外れてしまいますので「はずみ音」があることが見えなくなってしまいます。
4分音符は3等分して、2/3まで音をだし残りの1/3は無音として弾む感じをだします。
1拍に8分音符が二つある場合は、最初の音は1拍の2/3、後の音は1拍の1/3の長さで演奏します。
それを機械的に倍の長さに変えていったものですから失敗作は次のようなものになりました。これでは16分音符であることという条件から外れてしまいますので「はずみ音」があることが見えなくなってしまいます。
民謡の「花笠音頭」は陽旋法ですから上のルールは当てはまりませんが、譜面通りに吹いてはいけない曲の一つです。
4分音符は3等分して、2/3まで音をだし残りの1/3は無音として弾む感じをだします。
1拍に8分音符が二つある場合は、最初の音は1拍の2/3、後の音は1拍の1/3の長さで演奏します。
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