SSブログ
ブロングランキング参加中
ブログ村テーマ ライフスタイルブログ
ブログ村テーマ 和楽器の友集まれ!
ブログ村テーマ 旬の食材で作る料理&レシピ・食べ物

スポンサードリンク

 

太っているからって、殺してもよいものでしょうか [推薦図書]

食糧問題で太っている人を排除しようということではありません。「太った男を殺しますか?」という本の話です。

トロリー問題.jpg

””殺し””という字が入っていますがミステリーではありません。善悪の判断に関する考え方を紹介している哲学書です。
といってもハードカバーの堅苦しい学術書ではなく、気楽に読めるソフトカバーの入門書です。

フィリッパ・フットという女性が提起した「トロリオロジー」という倫理学の考え方を豊富な例題を挙げて解説しています。
元々はトラム(路面電車、トロッコ)を題材にして説明されていたので、トロリー問題とかトロッコ問題といわれています。

原典に当たっていませんので細かいところが違っているかもしれませんが、一つはこんな話です。

あなたは軌道の分岐器の脇に立っています。そこに、明らかにブレーキが故障していると思われる暴走電車がやって来ました。この先では五人の人が作業をしていますからそのままでは轢かれてしまいます。
分岐器を操作して電車を分岐線に引き込めば五人の人たちは助かります。ところが分岐線には一人の作業者がいますから今度はその人が轢かれてしまいます。
さてあなたはどういう選択をしますか、という問題です。

どちらを選んでも命にかかわる結果がつきまといます。こんなのは絵空事と思われるかもしれませんが、歴史上これに似た判断が求められた例は枚挙にいとまがありません。
誰もが知っている例では広島・長崎の原爆投下があります。多くの非戦闘員が巻き添えをくって命を落とすことがわかっていながら戦争の終結を早めるために必要と判断されました。誰かを助けるために誰かが死ぬのはやむを得ないという考えです。

先の問題では多くの人が分岐線に引き込むことを支持するそうです。五人が死んで一人が助かるよりも、一人が死んで五人が助かった方が良いと考えるようです。
reizanだったら目をつぶってなかったことにしてしまうかもしれません。

それではこういう例はどうでしょうか。
それぞれ違う部位の臓器移植を必要としている五人の人がいます。そのうちの一人は心臓です。移植しなければ命を落とします。そのとき、若者が健康診断を受けに来ました。結果は健康そのもので、さらに五人の移植待ちの人に適合することもわかりました。
移植すれば五人の人の命は助かります。しかしそうすると若者が命を落とします。この場合はどうすれば良いのでしょうか。
人数だけ見れば先のトロリー問題と同じく五人対一人です。でも、後者の場合には、若者を殺してでも五人の命を助けるべきと考える人は少ないでしょう。

これも歴史を見ていくと、特攻だとか人間魚雷がこれに似ています。これをさせた人は五人を助けるために若者に臓器移植をさせるのと同じようなことをしているのです。
例題だけ見るとこんなばかなことをするはずがないと思うようなことを平気でやってしまうので怖いですね。

これからも勉強して何が善で何が悪かをしっかり判断できるようになりたいものです。

ところで、表題の太った男を殺す話はこういうことです。
あなたは跨線橋の上にいます。暴走電車が迫っていてこの先で作業している五人の人が轢かれそうです。
その時ものすごく太った男が跨線橋の上から身を乗り出して電車を見ていました。この男を突き落せば電車はこの男にぶつかって止められるでしょう。あなたはこの太った男を殺しますか?という問題です。
いくらなんでもこれはやっちゃあいけないでしょう。

でも、この話を読んでいて身をもって車輪の下敷きになった長崎バスの鬼塚車掌さんのことを思い出しました。
昭和22年9月、満員のお客を乗せた木炭バスが30メートルぐらいの坂道を登っていましたがあと少しのところでエンストしました。さらに悪いことにブレーキが故障していてバスは後退し始めました。
バスを降りて止めるように指示された鬼塚車掌さんは大きな石を車止めにしようと試みたもののタイヤはそれを乗り越えてしましました。片側は10メートル以上の崖です。転落したら大勢の犠牲者が出ます。
しかし、崖まであと数メートルというところでバスは止まりました。鬼塚車掌さん自らがバスの下にもぐり込み自分の体を輪止めにしたのです。お蔭で乗客・運転士は無事でしたが、鬼塚車掌さんは運ばれた病院で息をひきとりました。享年21歳でした。

善悪の判断を超えたところにある犠牲的精神、立派ですが悲しくなります。

共通テーマ:趣味・カルチャー
スポンサードリンク

ブログランキングに参加しています。
更新の励みになりますので応援よろしくお願いします。
ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。