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混声合唱曲「智恵子の手紙」に大感激 [音楽鑑賞]
一番の目当てはよく知っている作曲・編曲家の安藤寛子さんの新曲を聴くことですが、三善晃さんの曲が3曲、ジャズピアノも演奏される人気作曲家の森田花央里さんが朝日作曲賞受賞曲と新曲、それに、お若いのに今や大御所の松本望さんの新曲と豪華なプログラムでした。(聴き終った後のツイートで、「cantusさんの演奏会一言でまとめればあれで2000円はありえない。10000くらい払う価値ある!!」と書いている方がおられました。同感です。)
会場の第一生命ホール(767席)は一般的なシューボックス型ではなく卵型をしています。卵の気室側が後ろになるイメージです。reizanは開場してすぐに入場しましたので歌声が真正面から飛んでくる特等席を確保することができました。
《表》 《裏》
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「鳥」 三善晃作曲(「地球へのバラード」より)
Ⅱ
「Sometimes I feel like a Motherless Child」 三善晃作曲(「黒人霊歌集」より)
「青い小径」 森田花央里作曲(朝日作曲賞受賞曲)
鐘
花火
ゆびきり
あなたの心
「石像の歌」 森田花央里作曲(委嘱初演)
-休憩-
Ⅲ
「その日 -Augast6-」 三善晃作曲
「二つの祈りの音楽~混声合唱とピアノ連弾のための~」 松本望作曲(委嘱初演)
夜ノ祈り
永遠の光
プログラムには各曲の解説が掲載されています。安藤寛子さんの「智恵子の手紙」の解説が制作の必然や曲への想いが綴られた名文なのでここに掲載させていただきます。
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客席の明かりが落ちて舞台が明るくなり、観客の拍手のなか、下手から団員の皆さんが列を作って入場し、ひな壇に並びます。続いて指揮者の雨森文也さんが登場。第1ステージの1曲目は三善晃作曲「“地球へのバラード”より “鳥”」からスタートです。
そこでいきなり井戸の底から響いてくるような美しい響きが聴こえてきました。(個人的には、この日最高の響きだったと思います。)
曲の途中で男声の語りがあるのですが、事前に聴いていたYouTubeの演奏ではバックのコーラスと被って何を言っているのかわからなかったのですが、コーラスの音量を控えめにしていたので語りがよく聴こえました。
3人の曲の委嘱初演ですから作曲者へのインタビューも考えたらしいのですが、森田花央里さんと松本望さんは自身でピアノ伴奏をされますので、演奏前の緊張の時間にインタビューするのも申し訳ないということで、雨森さんが三善晃さんの人となりや作品への想いを語り、3人の紹介と委嘱新曲の解説をされました。
これが終わって雨森さんが退場されたので、再び団員の皆さんが登場されて待望の「智恵子の手紙」が聴けると思ったら何やら様子が違います。
急に舞台が薄暗くなりました。客席はもともと照明が落とされていたので舞台がかすかに見える程度の暗さです。
やがてA音の高さの通奏音が聴こえてきました。(これは女声ソロが始まるまで前まで続きました。全員が出終るまでですからかなり長い時間でした。循環呼吸ではないと思いますので交替で息継ぎをしていたのだろうと思いますが、聴いている分にはずっと続いている感じでした。)
薄暗い中、ひとが歩いているのがわかります。所定の位置に着いた人は後ろ向きになります。上下黒い服に髪の毛が黒色ですから皆シルエットしかわかりません。通奏音と相まって不気味な雰囲気が漂います。
全員が入場したあとから指揮者の雨森文也さんが登場されましたが通奏音があるので誰も拍手はしません。
雨森さんが定位置に着いたら、ひな壇から一人の女性が前に出てきました。まだ顔は見えません。
指揮者よりも前の位置に出てきて客席の方を向いて立ち止まると、天井から一本の光が射し、ピンライトが顔を捉えました。
「智恵子の手紙」は、智恵子の福島の実家が破産し、東京に出てきていた母親に宛てた手紙をテキストにしています。手紙の文章がどんな曲になるのかと思っていたら、手紙を読む朗読の部分や、文章がメロディーにのって歌われる部分、そして、朗読と歌が同時進行する部分がありました。
曲のなかにはいろんな仕掛けがしてあって、事前に聞いていたのは、智恵子の心の病が顕在化するちょっと前の手紙なので途中支離滅裂なところもあるからそういうところは省略したり、朗読している声がわざと歌にかき消されるようにしていたり、朗読している文章の中で大事なところになるとそこが二重唱になって言葉がはっきり聴こえるようにしているそうです。
音の位相があちこちに飛んだり、落ち着いたり急き立てるようになったり、ドラマチックな展開で圧倒されました。
圧巻は全員がそれぞれ違う高さの音を発した時です。それはでたらめに発声しているのではありません。一人ひとりに担当する音高(F、F#、G、G#、A、A#、B、C、C#、D・・・・・・のように半音ずつ違う音)が指定されていて、あたかもピアノの白鍵と黒鍵の上に板をおいて上から同時に押さえつけたような響きを出したのです。
CANTUS ANIMAEというのはそういうことができる人たちの集まりらしいです。
安藤寛子さんは団内作曲者ですから、メンバーの出来ること、得意なことを承知していて、それを作曲に活かしたのだろうと思います。
全員が微妙にタイミングをずらして発声するところも下手をするとわけの分からない噪音になってしまいそうですが、それが圧倒的な迫力で迫ってくる音楽になっていました。
曲の終わりはまた暗転して、発声しない人から後ろ向きになっていき、最後は、一人の女性(最初とは別の人)が前に出てきてライトを浴びる中で、「それでは、また」と歌って終わりました。
終演後にロビーで安藤寛子さんをお見かけしたので、バカ正直に「多分ねらい通りでしょうけど、グジャグジャ感が良かったっです。」とお伝えしたら、「意図通りです。」というお言葉が返ってきました。
終演後のツイッターやブログの書き込みを「智恵子の手紙」で検索したら次のような書き込みがありました。
『Cantus終演しましたー いやー。。1ステの智恵子の手紙聞いてあぁこれで今日はもう来た甲斐あったわとか思ってたら最後が…… あーこれアンコールなくていいわこのまま座ってたいわって思ったらアンコールなしで、あぁくそぅ結局雨森の掌の上か!などと思いましたとさ』
『cantusさんの演奏会一言でまとめればあれで2000円はありえない。10000くらい払う価値ある!!まずプログラム構成うますぎません?魂をつなぐ歌という題名にふさわしい演奏会でした。ステージIの智恵子の手紙。間の雰囲気が上手すぎる!僕の大好きな作品になりそうです。早くCD欲しい』
http://blogs.yahoo.co.jp/koyama2870041/13569699.html 高村光太郎連翹忌運営委員会のブログ(予告)
http://blogs.yahoo.co.jp/koyama2870041/13619745.html 同委員会のブログ(演奏を聴いたあと)http://blog.goo.ne.jp/katsura1125/e/47d9ea73dbf61a39bd761396392e4b35 他の団の演奏会をパスしてきた人のブログ
http://sagacho-nikki.hatenablog.com/entry/2016/05/13/091256 佐賀町日記
http://open.mixi.jp/user/8878337/diary/1952573824 mixiみんなの日記
http://plaza.rakuten.co.jp/gakunan2005/diary/201605090000/ 岳南メンネルコールblog
http://talk21self2.blog111.fc2.com/blog-date-20160517.html 指揮者の独り言
そして、安藤寛子さん自身もブログに記事を出されていました。
http://anhiro.anhiro.net/?eid=140 安藤寛子さんのブログ
こういう書き込みをしている方もおられました。
『深くて重いところ有り、でもほっとさせるところも有り。ドラマチックでアカペラと思えない迫力と厚みが有り、広がりが有り。あんひろさんは天才だ♪と思いました。凄すぎる!見事に表現した指揮者の先生と団員の皆さんも最高ですね。』
第2、第3ステージも素晴らしくて感動的で本当に1万円でも惜しくないぐらい出色の演奏会でした。
余談ですが、第3ステージで松本望さんが自作曲をピアノ伴奏された直後に泣きだすというハプニングがありました。
ご本人のブログによると、曲の最後の方の響きと空気が、作曲時の想像(狙い)以上に凄くて、思わず感涙されたそうです。
雨森文也さんが音楽監督兼指揮をするCANTUS ANIMAEってそういう合唱団なんですよね。
3人の若手女性作曲家の皆さんの新曲誕生の場に立ち合えたことが奇跡のような一日でした。
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