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山田流筝曲と合わせにくい訳が分かりました [三曲]

筝曲の大きな流派は、「生田流」と「山田流」です。山田流は山田検校が長唄などの要素を取り入れて関東を中心に広めました。
器楽演奏よりも歌を聞かせることにウエイトが置かれているのが特徴です。

山田流の筝曲の方と尺八で合奏すると合わせにくいところがあります。尺八の方から言うと曲の途中で絃が急に緩むところがあって合わせにくいのです。
でも今後は大丈夫です。なぜかというと原因を見つけたからです。

例えば都山譜「江の嶋」の35小節目は次のようになっています。

尺八譜.jpg

五線譜で表わすとこうなります。

江の島五線.png

ところが、このとおりに演奏するといつも3拍目の音を尺八が先走ってしまうのです。尺八のベテランの方はこういう箇所を耳で聴いて覚えておられますが、こういうのが何箇所も出てきますのでreizanにとっては至難のわざです。

そこで箏の先生に箏譜を見せていただきました。(書き込みをされているので普通は嫌がられるものですが、心の広い先生がおられてOKでした。)
山田譜の同じ箇所は次のようになっています。生田流は縦書きですが山田流は横書きです。上から箏譜、歌譜、三絃譜になっています。

江の島曲_35小節.png

なんと2拍目の裏拍にフェルマータが付いているではありませんか。しかも「約1拍」と書き添えられています。これだったら3拍目がずれるはずです。

このことが分かってしまったら対策は簡単です。尺八譜にもフェルマータ記号を書き足せばよいのです。

尺八譜修正.jpg

こうすると速度表示の「徐」がなくても合わせられます(実際、「徐」ほど遅くはなりません。)。約1拍と書かなくても間合いを合わせれば大丈夫です。
これを五線譜で表わすと次のようになります。この小節の演奏は4分の4.5拍になり、フェルマータの後の「F」の16分音符は拍子外(装飾音符)のように演奏します。

江の島五線修正.png

なお、本題から外れますが、尺八譜に鉛筆で書きこんでいる横長の四角形や〇の説明を付記させていただきます。
四角は絃が同じタイミングで発音していることを表わします。〇は絃の音が延びているか休止している箇所です。

これを多用すると見づらくなりますが、曲の初めやテンポの変わり目など特に合わせにくいところに書き込んでおくと有効です。

話が逸れたついでに琴古譜の「六段の調」初段出だしを確認してみましょう。矢印の(2は大間で書かれていることを表わし、半拍を1拍で演奏します。右側の「呂」は都山流の「乙」にあたり「りょ」と読みます。「ゝ」は前の音符と同じ音高ということです。
琴古流六段大間1.jpg

これに対して箏譜(生田流)は次のようになります。

生田六段.jpg

2拍目の「ヒ」は「引きいろ」という奏法で、余韻で鳴っている絃を柱(じ)の左側でつまんで、柱の方向に引いて絃の張りを緩めて半音ぐらい下げ、続いて手を離してまた元の音高に戻すという独特の手法です。
五線譜で表わすとこうなりますが、ピアノで箏の感じを再現するのは不可能です。

生田六段.png

引きいろの音は繊細ですから静かにしていないと聞こえません。
初心者の人は尺八の2拍目を箏の3拍目(はっきり聴こえる)で吹くことがあります。そうすると1拍ずれて演奏することになりますから不都合です。

だから琴古譜では尺八が2拍目を正しい位置で吹かないといけません。(都山流では最初の音が2拍ですから、1小節目は箏の発音どおりに吹けばよいので合わせやすいです。)

ここで、四角と〇の記号を活用すると琴古譜も吹きやすくなります。

琴古流六段大間2.jpg


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