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尺八の歌口周りの寸法 [尺八改造]

reizanと一緒に尺八で遊んでいる方のなかに、常にメリ吹きをしている方がおられます。

だからその方の尺八はいつも他の人より低いキーで鳴っています。それも困ったことですが、特殊音符でメルときにそれ以上顎が引けないから人よりも高い音になってしまいます。

その方がなぜメリ吹きをするのだろうかと考えてみて、一応の結論に達しました。

それは、管頂から顎当たりに向かう傾斜の角度が小さいためでした。プロトラクター(分度器と指し棒を組み合わせて角度を測る器具)を使って測ってみたら5°の傾斜でした。

5°の傾斜でも問題なく吹いておられる方もいらっしゃいますが、もう一つの要素としてご本人の顎の形が関わってきます。唇から顎にかけてのラインが平面に近いと、斜め45°ぐらいに構えるのを標準としている尺八を水平に近い状態で構えなければなりません。
それだと楽譜が見えませんから、尺八を水平に当ててお辞儀をしたような格好になっているのです。
本来のメリ吹きというのは、特殊音符の運指だけでは正しい音律まで下がらないときに顎を引いて尺八の歌口(エアリード)と唇の間を近づけ、開口面積を狭くして音律を下げてやる方法です。
それを常時やられているから正しい音律で鳴らすことができないのだろうという結論に達しました。

reizanが小学校の邦楽体験ボランティアの際に持参する尺八管頭モデル(知人が作ってくださったもの)の傾斜を計ってみたら次のようになっていました。

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reizanはすべてを鳴らすことができましたが、一番吹きやすかったのは8°下げのものでした。

よく鳴るので評判の泉州尺八を計ってみたら11°下げになっていました。

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管頂から顎当たりに向かう傾斜の角度はいろいろありますが、歌口と管頭に挟まれた部分の角度はどの場合も100°が良いようです。

そうすると歌口の角度の計算式は次のようになります。

歌口の角度 = 180° ー { 180° ー ( 顎当たり傾斜角度 + 100° ) + 90° }

      = 90° ー ( 80° ー 顎当たり傾斜角度 )
この式に顎当たり傾斜角度の数字を代入すると

歌口の角度 = 90° ー ( 80° ー 11° )
      = 90° ― 69° = 21° となります。

でもこんな面倒な計算をしなくても、
歌口の角度 = ( 10° + 顎当たり傾斜角度 )で計算できます


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スプリングクランプ [尺八改造]

尺八用に竹製のリーフレックもどきを作って最適寸法を見つけようとしていましたが、納得できるものができたのでゴムバンドでの取付けをやめて木工ボンドで接着することにしました。

しかしやってみたらゴムバンドで取付けていたときのような効果が出ません。と言うより、特定の音でビリつきが出るようになりました。

接着したところを見たら一部に浮き上がっているところがありました。やはり密着が肝というのは間違いではなかったようです。

木工ボンドはハンディスチームアイロンでスチームを噴射してやれば簡単に剥がせますから取り外すのは簡単ですが、ゴムバンドは目障りなのでどうしても接着したいと思いました。

ねじ式クランプを持っているのですが、ねじ込む際に最後の力を加えたところで対象物が正規の位置からずれてしまいます。

ねじという構造ではやむを得ないことですので他の方法は無いかと探してみたらスプリングクランプというのがありました。回転ではなくバネの力で締め付けるものです。

高いものではなかったので購入しました。

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この方向で挟む分には問題ありませんでした。しかし90°方向を変えて挟むと真っ直ぐに力をかけることが難しく対象物がずれてしまいます。

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もっと酷いのは尺八の本体に取り付けようとしたときです、対象が円筒形の為真っ直ぐに力をかけるのが難しくて、少しでも芯がずれていると対象物が滑ってクランプが飛んでいきます。顔に当たったら大けがをしそうな勢いでした。
結局、ねじ式クランプで騙しだまし取付け、なんとか上手くできました。

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意外な結果 [尺八改造]

竹材で尺八用のリーフレックもどきを作っていたときのことです。クランプのせいで2枚重ねにした材の位置がずれてしまったのがありました。片方が5㎜ぐらいはみ出してしまったのです。

見苦しいのでその部分に鑿を当てて割り取りました。

それを見たら幅が狭いだけで形はきちんとしています。

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ものは試しで尺八にセットして吹いてみたら、これがなんと響きが良くなっているではありませんか。

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ある程度の幅をとることと2枚重ねにすることが必須条件と思っていましたが、目からうろこが落ちたような心持です。

幅狭で1枚で済むとなると加工の難易度は極度に下がります。また幅が狭くなったことで密着性を確保するための加工も簡単になりました。

今後はこの線で極めていきたいと思います。

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尺八の指孔 [尺八改造]

reizanの愛用する1尺8寸管は修理痕だらけです。最初は5孔だったのですが、後に7孔に改造しました。まず最初は、7孔の下の方の位置が悪くて小指が攣りそうになるので位置を修正してもらいました。

その後、(多分)自分で顎当たりなど管頭部の修整をした影響で調律が狂ってしまいました。そこで最初から開いていた5孔を全部埋め戻して、新たな指孔を開けてもらいました。

その後、裏孔(第五孔)が親指を動かしづらい位置にあることに気づきましたので位置を修正してもらいました。この時は3回目でやっと今の位置に落ち着きました。

そして最近、リーフレックの存在を知って竹材でリーフレックもどきを作ったのですが、このもどきを使うと、響きが良くなって今までよりも少し息の量を落としても今までと同じ音量が得られるようになりました。

ところがそのことによって、今度は1尺6寸管のロ・ツ・レ・チ・ハのそれぞれの音の響きにばらつきがあるのが目立ってきました。

それまでは気づかなかったのですが、これももどきによる効果だと思います。
具体的には、乙レ(G音、1・2孔開・3・4・5孔閉)と乙チ(A音、1・2・3孔開・4・5孔閉)のふたつの音のとき音の抜けが悪く籠もったような感じになります。

思い返してみれば、気づく前からこの二つの音については音量も少し落ちるので息の量を増やして吹いていました。理想は、同じ息の量で吹いたときにロ・ツ・レ・チ・ハの音量のバランスが揃っていることです。

そこで、対策を考える前に発想を変えて、なぜロ・ツ・ハの方が良くなるのかを考えてみました。
ロは指孔全閉ですから管尻の穴だけが開口部になりますのでこれは検討の対象から外しました。

それぞれの運指を見ると、乙ツ(F音、1孔開・2・3・4・5孔閉)、乙ハ(C音、1・2・3・4孔開・5孔閉)となっています。

演奏するときは、どの孔を塞ぐかということを考えながら吹いていますが、実際の音の高さを決めるのは開いている指孔のうちで歌口から一番近い孔です。

乙ツの場合は第1孔、乙ハの場合は第4孔が肝です。
これに気づいたら、思い当たることがありました。第1孔と第4孔はツの半音とハの半音を出しやすくするために孔の下部を斜めに(音程に影響が出ないように)削っていたのです。だから乙ツと乙ハの音の抜けが良かったのです。

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《上:第4孔、下:第3孔》
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《上:第2孔、下:第1孔》
だったら、乙レは第2孔、乙チは第3孔が肝ですからその穴を広げてやれば良いことになります。ただし上下方向に広げると音程が変わりますからそれはやってはいけません。

残された方法は横に広げることです。左右どちらに広げるか、それとも左右均等に広げるかと考えたとき、指で隠れる側に広げた方が良いことに気づきました。

その結果が上の写真の第2孔と第3孔です。それぞれ指の付け根側に向かって削っています。

この結果、同じ息量で吹いたロ・ツ・レ・チ・ハが同じ音量・同じ抜け加減で出せるようになりました。

なお、その時に気づいたのですが、作業中に扇風機を足元に向けて弱で回していたら、口元にも来ていたらしくその風の影響だけでも音が割れたりしました。正確な確認は無風状態で行わなければなりません。

余談ですが、虚無僧の天蓋も顔を隠すだけでなく風よけの役割をしていたのかもしれません。(虚無僧の尺八は大きな音が出なかったそうです。なぜかというと、天蓋のなかで響いてうるさいからです。現在は大ホールでもマイクなしでいけるぐらいの音量が求められていますので、素人でも大きな音を出すための工夫に余念がありません。)


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1枚でも良かったのだ [尺八改造]

島村楽器でリーフレックの試奏をした後、購入しましたが、尺八には竹でも良いのではと思って作ったら、それが効果抜群でした。

リーフレックが2枚重ねなので、その通りに真似ていました。(ゴムバンドが見苦しいので、木工ボンドで接着しています。)

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ところが、ある失敗のお蔭で1枚でもいけることがわかりました。

経緯はこういうことです。

新たに2枚重ねのリーフレックもどきを作っていたときのことです。クランプで締めるときに材料がずれてしまったまま固まってしまいました。

特に見た目が悪い1枚の方だけ、はみ出した部分を鑿でカットしました。
材料が竹ですからスパッと割れて幅4ミリぐらいのリーフレットもどきができました。

試しにこの1枚をゴムバンドで挟んで尺八にセットし、吹いてみたら、なんと2枚重ねと遜色ない響きが得られました。

幅が狭くても良くて、1枚で良いということになると加工は格段に容易になります。

そこで2枚ものを貼り付けていたのを、ハンディースプレーアイロンの蒸気を当てて木工ボンドを柔らかくして剥ぎ取り、新たに作った1枚をゴムバンドで挟んで吹いてみて、接触面を修正し、最終的に木工ボンドで接着しました。

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この尺八は一番多く使っている1尺8寸管で、これ以上扱う必要がないものになりました。

その後で1尺6寸管も同じようにして1枚もののリーフレックもどきを貼り付けました。


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顎当たりを削りすぎた [尺八改造]

尺八は長さが1寸違うと音の高さが半音違ってきます。長いほど音が低く、短いほど音が高くなります。

1尺8寸の尺八の筒音(5つの指孔を全部塞いだ音)はハ長調のレ(D音、ですが尺八音符では「ロ」)です。
1尺6寸管はそれより2寸短くなりますから、筒音は半音2つ分(1音)あがってハ長調のミ(E音)となります。

洋楽器風に言うと、1尺8寸管がD管、1尺6寸管がE管ということになります。

reizanが一番良く使う1尺8寸管はほぼ調整を完了していますので、あとはたくさん吹き込んで自分のからだと一体化させるばかりです。

ところで、1尺8寸管はほかにも持っているのですが、1尺6寸管は1本だけしか持っていません。
この1尺6寸管が20年も使っているのにまだ調整の途中です。

1尺8寸管に比べると鳴りが今一です。
尺八を買うときの理想としては良く鳴ることはことは勿論ですが、長さの違う尺八に持ち替えた時にアンブシュアを変えなくて済むことも大切なポイントです。

太身の尺八と細身の尺八の組合せはあり得ません。
また、管頭部の角度違いも避けたいものです。顎当たりの下がり角が1本は5°でもう1本は11°というようなことは絶対に避けなければなりません。

尺八を変えるごとに吹き方を変えなければならないようだと上手くなれないだけでなく、ストレスが溜まって尺八を吹くのが嫌になるかもしれません。

だからreizanは、もともとよく鳴っていた1尺8寸管に他の尺八を合わせるようにしています。

1尺6寸管の方がすこし太身だったのですが管頭部の直径を合わせるように修正しました。
それでも全く同じという感じにはなりません。

ずっと気になっていたのですが、最近、管頭部の角度の違いに気づきました。
顎当たりから歌口までの寸法が同じで、吹いたときの感じが違うというのは角度の違いに起因するかもしれないと思ったのです。

とは言っても、素人が歌口の角度を扱うのは困難です。それ以外でできることといったら顎当たりに向かう角度を扱うことぐらいです。

これには二つあって、一つは傾斜を大きくする(削る)と、傾斜を緩くする(盛る)です。
当然削る方が楽です。

削るか盛るかは横から見たときの切り口の角度で決めます。よく鳴る尺八の標準的な角度は、歌口の傾斜と顎当たりに向かう傾斜に挟まれた部分の角度が概ね110°です。

reizanの1尺6寸管はこの角度が110°を越えていたので顎当たりに向かう部分を削って角度調整をしました。
その結果吹きやすくなりましたし、響きも良くなりました。

ところが顎当たりに近い部分に削りの段差ができてしまっていました。演奏には影響ないのですが気になるので削って高さを揃えました。
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実はこれが削りすぎで情けない音しか出なくなってしまいました。こういう時は削りすぎた分の高さを修正してやるしかありません。

その為の便利グッズがこれです。

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もともとはプラモデルに着色するときのマスキングテープで東京赤羽のプラモデル屋さんで買ったものです。

このマスキングテープの厚さは0.1㎜(下の目盛と上の目盛がピタリ揃っているところが、挟んでいるものの厚み)です。5枚重ねると0.5㎜、10枚重ねると1㎜になります。

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これを1枚ずつ貼るたびに尺八を吹いて鳴り具合を確認します。4枚~5枚重ねたところが一番鳴りが良かったので、多分、0.5㎜前後の削りすぎだったのだと思われます。

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この削りすぎを元に戻すには、ゼリー状の瞬間接着剤と柘植の粉(それ用に市販されています)を使って埋め戻します。

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すぐに固まりますが、24時間以上置いて完全に固まったところでやすりをかけて最適な厚みに調整し、バリを取ったら修理完了です。

この技を教えてもらってから竹を削るのが怖くなくなりました。


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管頭の角度 [尺八改造]

尺八という楽器は真竹を切って、歌口を斜めに削り、5つの指孔を開けているだけの見た目単純な楽器ですが、単純であるがゆえに薄紙1枚以下の加工の差でも鳴り方に大きく影響します。

顎当たりをヤスリで1回擦っただけでも鳴り方が変わることがあります。それで良い音になるのだったら誰でもやりますが、それだけで情けない音に激変することもありますから素人が扱うべきではないと言われています。

逆に、もともと削りすぎという場合もあります。このケースかどうかは顎当たりの上部にマスキングテープを1枚ずつ貼り足して確認することができます。

そして貼り足した方が良い音になる場合は、その厚さ分だけゼリータイプの瞬間管接着剤と柘植の粉で厚みをつけてやれば良いのです。これができると削りすぎた場合も修復可能となりますからやってはいけないと言われていることをやってみたくなります。

そうやって自分の尺八を扱ってきたのですが、最近、疑問に思うことが出てきました。
顎当たりを扱っても歌口までは手を付けません。それらに挟まれた管頭部の角度が変わってしまいます。
疑問は、その角度にベスト角度というものがあるかどうかです。

良く鳴ると評判の製管師が作った何本かの尺八の管頭部の角度を測定したら110°でした。
reizanの尺八も良く鳴るように修正してきたから110°ぐらいになっているだろうと思っていたのですが、実際に測ってみたら101°でした。

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歌口と顎当たりに挟まれた管頭部の角度は尺八の鳴りに関係するのか、法則性があるのか、と考えたら気になりだしました。

これは調べるしかありません。
知り合いの方たちの尺八を測定させてもらってデータを集めたら、関係あるのかないのかわかりそうです。

しかし他人の尺八に金属の測定具を当てることはできません。
そこで厚紙を加工して分度器を作ってみました。

最初に作ったのは110°です。2本の尺八に当ててみましたがどちらもぴたっといきません。

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右の方も歌口側にすき間ができています。このすき間は2°ぐらいありそうです。

1°刻みで測定器を準備しておいたら便利そうだと気づきましたが、手頃な厚紙が少ししかなかったので、3°違いで4種類を準備しました。(紙が厚いのでハサミを使わずにカッターで切りとりました。)

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先ずはこれで試してみて、手頃な紙が見つかったら1°刻みで作り直そうと思います。


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ひねり [尺八改造]

9月は毎日が日曜の年金生活者には珍しく毎日予定が入っていて、酷い日は日に4つもイベントが入っていました。

10月は少し落ち着いています。
久しぶりに時間が取れたので尺八の改造に取り組みました。切っ掛けは尺八のレッスンで唇のすき間と尺八の歌口の角度があっていないことが指摘されたからです。

その際に、reizanが中継ぎを外さないことに対する懸念事項も指摘されました。

最初の指摘については、尺八を構えた時に歌口が左に傾きすぎているということでした。正しい位置に調整していただくと下側の手首を無理に折り曲げるようになり、運指をする上で不都合です。

普通だったら中継ぎのところで外して角度を変えて差し込めばそれで終わりですが、reizanの尺八はリーフレックもどきを上下の管に木工ボンドで接着してしまっているから外せません。

でも、リーフレックもどきを外さなければ角度を変えることはできません。

そもそも上下の管を真っ直ぐに接続せずにひねっているのは、reizanの唇が真っ直ぐではなかったからです。少し左下がりのすき間ができていました。

それに合わせて尺八の上下管をつなぐときにひねりを加えていたのですが、どうも唇のすき間が水平に近い形に治ったようです。

そのままでは良い音になりませんし、よい音にしようとすると手首が痛くなってしまいます。
早くなんとかしないといけなかったのですが、ようやく暇になったので作業にかかりました。

木工ボンドを剥がす行為自体は何度かやっていて、ハンドスチームアイロンの蒸気を当てることでボンドを溶かせば簡単にはがれます。

リーフレックもどきをを剥がした状態で、洗面所の鏡を見ながら尺八の上下管のひねり角度を調整しました。
今までに比べると外周上で2㎜(角度で約6°)ほど動かしました。

なお、この際に中継ぎの寸法も調べました。心配したのは中継ぎの奥の方にすき間ができていないかということです。もしすき間があればそこに水滴がたまって劣化の要因になります。

ノギスで測定した結果は次のようになっていました。
上管がほぞ穴、下管がほぞになっているのですが、ほぞ穴の方がほぞよりも細いというのが不思議でした。何度測っても結果は変りませんでした。多分、ほぞ穴の入り口は少し広くなっていて、なかは少し狭くなっているのだろうと思います。

中継ぎ.png
ほぞの長さもほぞ穴の深さよりも長いところが多いのですが継ぎ目にすき間はできていません。
不思議だなと思って継ぎ目の部分をよく見たら、下管のほぞの回りの竹の端は平面になっていますが、上管のほぞ穴の回りの竹の端は内側に向かって少し傾斜がつけられていました。

ほぞの長さに多少のばらつきがあっても中継ぎの継ぎ目にすき間ができない構造です。だから見た目は良いのですが、多分、ほぞ穴の奥の方にはすき間ができているだろうと思います。
そこに水滴がたまって劣化していくのですが、reizanが死ぬ時までもってくれるだろうし、跡を継ぐ人もいないので心配しなくても良さそうです。

上下管のひねり角度を決めたあとは、前のようにリーフレットもどきを木工ボンドで接着しました。

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6寸管の調整 [尺八改造]

6寸管というのは1尺6寸管のことです。(因みに8寸管は1尺8寸管です。)

最近、6寸管の管頂から顎当たりに向かう角度が急になるようにヤスリで削ったら大ハズレで、乙ロの音が情けない音になってしまいました。

顎当たりの中央部分がえぐれていたのでマスキングテープを5枚重ねてみたらだいぶ良くなりました。
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それで、瞬間接着剤と柘植の粉を使って肉を盛り上げました。

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竹調べ(鳴り具合を確認するための吹奏)をしてみたらよく鳴っていたのですが、日にちが変わったらまた情けない音になっていました。

よく鳴ったのは尺八に唇を合わせていたからでそれではダメです。いつでも安定して噴けるようにするためには尺八の方を唇に合わせなければなりません。

まずは現状の寸法(顎当たりの補助版の上面から修正した顎当たりの上面まで)をノギスで測りました。
結果は4.3㎜でした。

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修正したところにさらにマスキングテープを10枚貼ってみたらさらに鳴りが良くなりました。
このときの寸法が5.6㎜でしたので、1.3㎜盛り上げるのが目標になります。

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取りあえず盛り上げすぎるぐらい盛り上げて、それを削りながら最適な位置を探すことにしました。

写真は、瞬間接着剤を塗って柘植の粉を振り掛けたところです。接着剤に触れていない粉は後で払えば取れますから必要以上に振り掛けています。

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時間を置いて粉を振り払ったところです。表面はでこぼこしています。

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これを削って乙ロがよく鳴る位置を見つけましたが、他の音との音量のバランスが良くないのでさらに少し削りました。

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この状態で寸法を測ってみたら5.1㎜になっていました。最初の修整からは0.8㎜アップです。
目標が5.6㎜ですからあと0.5㎜アップする余地がありますが、しばらくはこの状態で様子を見たいと思います。


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原因は、他にあった [尺八改造]

愛用している1尺8寸の尺八の音がおかしくなりました。

乙ロ・ツ・レ・チ・ハ、甲ロ・チ・レ・チ・ハと吹いていくと、乙のレとチの音が変です。
音律は正しいのですが、音が二重に聞こえます。

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それで第2孔と第3孔を横方向に広げて良くなったと思っていたのですが、また変な音がしだしました。

リーフレックもどきを1枚にしたのが悪かったのかと思って、もう1枚を重ねてゴムバンドで押さえて吹いたら、乙レとチの音がすっきりするようになりました。

それで、すでに木工ボンドで接着している上にもう1枚をボンドで接着しました。

接着剤が乾いたところで吹いてみたら、まだ乙レとチの音が変です。
そうこうしているうちに接着しているはずのリーフレックもどきが取れてしまいました。

1枚目の接着をした時に位置がずれていたのですが、尺八にヤスリをかけていないところで接着されていたみたいで木工ボンドが効いていなかったようです。
2か所で接着しているうちの1か所は全く効いてなかったようで、それが悪さをして音が二重に聞こえていたようです。

尺八の表面を紙やすりで削って、改めて木工ボンドで接着し、万力で厚をかけて密着させました。

これで乙レとチの音は問題なくなったのですが、今度は甲ロの音が他に比べて音量が小さくなっています。
リーフレックもどきを使う前は甲ロの音だけが突出して大きくて、先生から甲ロだけ音量が大きくならない吹き方をするように指導されていましたが、それにしてもこれでは甲ロの音が情けなさ過ぎます。

心当たりとしては、第2孔と第3孔を削ったことが影響しているかもしれません。

そこで、今度はゼリー状瞬間接着剤と柘植の粉を使って、指孔を削ったところを埋め戻しました。

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その結果、乙ロ・ツ・レ・チ・ハ、甲ロ・チ・レ・チ・ハが音量のバランスよく鳴るようになりました。


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なんでも尺八になる [尺八改造]

中学、高校生ぐらいの子供さんがスマホを欲しがるとき、「クラスのみんなが持っているのに自分だけ持っていない」みたいな言い方をするのは今も昔も同じです。みんなって何人?、と訊かれると答えに窮してしまいます。
タイトルの「なんでも尺八になる」というのもそういう類いです。平面のものや多角形のものはまず無理で、筒状の円筒形である程度の太さまでものに限定されます。下水道用の土管みたいなものはチャレンジしても意味がありません。ある程度限定された範囲の中であれば大概のものが尺八のように吹いて音を鳴らすことができるということです。

reizanも小学校の邦楽体験教室のボランティアに行ったときは尺八以外のものを吹いて見せたりしますが、邦楽ジャーナルという純邦楽系雑誌の編集長さんの演奏には感心しました。いろんなものを吹いておられるのですが、最後はそれらで合奏を始めてしまいます。(ここ

メリ・カリだけで1オクターブを出せるというのは目から鱗です。尺八だとメリ・カリだけで1音半ぐらいの違いは吹き分けられますが、それだけで曲を吹くことはできません。でも1オクターブ出れば簡単な曲だったら何とかなりそうです。

12月、1月には小学校の邦楽体験教室がありますので今から練習してものにしたいと思います。


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ガムの使いみち [尺八改造]

尺八にリーフレックもどきを使うようになって、音の響き、音量ともに改善されたのですが、そのお蔭で微細な音の乱れに気づくようになりました。

それを改善するためいくつかの箇所を当たって改良してきました。その結果かなり良くなったのですが、尺八の先生から、歌口の内側を自分で加工したディンプルで息の流れが乱れているのではないか、とのご指摘をいただきました。
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これは試してみるしかありません。ディンプルがある場合とない場合の比較です。

ディンプルがない状態にするには埋め戻せばよいのですが、完全に埋めてしまったら、あとでディンプルがあった方が良かったと思ったときにまた削らなければなりません。

交互に何回も吹き比べて比較するためには、形が自由に替えられて若干の接着力があるものが必要です。

家にあるものでそのようなものがないかと考えてガムを思いつきました。
良く噛んだガムだったら自由に形が変えられるし接着性もあります。含水量が少なくなると靴で踏んだ時のように取り除くのが難しくなりますが、噛んだすぐあとだったらベタベタすることはありません。

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ガムを貼り付けたり外したりを繰り返して吹き比べてみたら、ディンプルがない方が明らかに音の芯が太くなるように感じました。

結論が出たので埋め戻すことにしました。製管師の方だったら砥の粉と漆を混ぜて埋めるところですが、reizanにその技がありませんので瞬間接着剤と柘植の粉を使って埋め戻しました。

340席ぐらいのホールで吹いたとき、客席の最後列で聴いてくださっていた尺八の先生が、他の方の演奏と比べてreizanの音が後方までしっかり届いていたと仰ってくださったので、改良の成果が認められたと思い嬉しかったです。


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1尺6寸管 [尺八改造]

1尺8寸管の尺八の改造をほぼ終えたところで、先日、地元三曲協会の記念演奏会にゲストとして出演していただく藤原道山さんと下合わせがありました。

そのうちの1曲は道山さん作曲の「景 -kei-」で尺八パートは2部合奏になっています。

当初、reizanは会長の指示で道山さんと同じパートで端っこに並ぶ予定でした。道山さんと一緒のパートだから楽勝と思っていました。

ところが、先日、道山さんが同じ曲で出演されている舞台を見て考えが変わりました。
道山さんが1部で、1部2名、2部2名でしたが、1部の音が大きくてハモるはずのところが綺麗なハモリになりません。他の3名の方もセミプロ級の方たちですがこの結果です。

自分たちの人数割り(1部4名、2部3名)ではもっと悲惨なことになりかねません。
そこで道山さんがみえる前に尺八の皆さんと相談し、その後会長の許可も得て、1部を3名、2部を4名に変更することにしました。

誰が動くかが問題ですが、結局、両パートを練習していたreizanが動くことになりました。
当初は道山さんが7名の中央の予定だったのですが、人数割りを変えた結果、reizanが中央になってしまい、道山さんの隣で演奏することになりました。

プロの大きな音の横では自分の音が聴こえなくてしまうのではと心配していたのですが、絶対的な音量では敵わないものの自分の音も聴き取れたので安心しました。
前で聴いてくださっていた会長さんの感想も、両パートの音量のバランスは良いと言ってくださいましたので一安心です。

1尺8寸管の改造で音量が大きくなったお陰です。
併行して1尺6寸管も改造していたのですが、当面使う曲がないので遅れ気味になっていましたが、1尺8寸管が終わったので本格的に取り組むことにしました。

最初にやったのは既報の通り、顎当たりの削りすぎて陥没した部分を埋め戻すことでした。
ゼリータイプの瞬間接着剤セメダイン3000を塗り、その上に柘植の粉末をバラまいて、乾燥してからヤスリで形を整えました。

でも鳴りが今一です。1尺8寸管と比べたら顎当たりに向かう傾斜が大きすぎるので、これを合わせようと瞬間接着剤と柘植の粉で盛り上げました。

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その結果、もっと鳴らなくなりました。
12月、1月には小学校の邦楽体験教室ボランティアが控えていて「春の海」を演奏する可能性がありますが、とても情けない音でこのままでは聴かせられません。

どこが違っているか比較してみたら、歌口側の角度が違っていました。reizanにとっては下の写真の角度が101°になっている時が一番吹きやすいようです。(reizanが習っている先生の尺八を何本か測定させていただいたら、その部分の角度は104°~110°でした。人によって相応しい角度は違うようです。)

2本の尺八を歌口の傾斜を揃えるように重ねあわせて横から見たら、同じにするためには盛り上げるのではなく、逆に削らなければならなかったことがわかりました。

一度盛り上げた部分をヤスリで削り取って101°の角度にしました。

101°.jpg
歌口側の傾斜角は23°前後が多いようです。この角度が大きくなると歌口が深くなりますし、小さくなると浅くなりますから、極端に外れた角度になることはありません。

歌口.jpg
あとは顎当たりの傾斜角をどうするかですが、今回の件で、歌口と顎当たりの傾斜に挟まれた部分の角度を基準にする見方があることに気づきました。

顎当たり.jpg
ところで、瞬間接着剤で盛り上げる方法はかぶれる恐れがあることもわかりました。

reizanの場合は、接触した部分の皮膚が瘡蓋のようになったり、皮膚が破れてリンパ液が滲みだしてかゆくなったりして放置できない状態になったので皮膚科に行ってステロイドの塗り薬を処方されました。

セメダイン3000の安全データシートを見たのですが、乾燥後の有害性については記述がありませんでした。
でも、家具などで接着剤の乾燥後でも有害ガスのホルムアルデヒドが出て健康障害が起きている例がありますから、乾燥後も悪さをしている可能性はありそうです。

1尺6寸管の管頭部からほとんど削り落としたのですが、丸印の部分に一部残っています。
削ると鳴りが変わります。良い方向に変るか悪い方向に変るかわかりませんからしばらく様子を見て、かぶれが再発するようだったら全部削り落とします。

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ゴム紐の強さ [尺八改造]

尺八用にリーフレックもどきの改良を続けてきましたが、4脚2枚重ねが密着性が良く響きも良くなることがわかりましたので、取りあえず本体の研究はここまでにしておきます。(あと、長さとか幅の違いがどう影響するかという課題があるのですが、材料の乾燥した竹が少なくなったので中止です。)

reizanの場合、リーフレックもどきを尺八に木工ボンドで接着してしまっていますが、これが有ると無いではどう違うのかを人に聴いてもらうには取り外しが出来なければなりません。

そのためにはゴムバンドが好都合なのですが、輪ゴムでもヘアバンドでも一重だと緩すぎるので二重にして使います。その場合、結構締め付けがきつくなります。

このゴムバンドの締め付けがきつい場合と緩い場合で響きに違いが出るかという実験をしてみました。尺八の外径は約35㎜です。

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試したのは、黄色と茶色のゴムバンドです。それぞれの直径は次のとおりです。
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茶色がφ20、黄色がφ30ぐらいです。茶色を使った場合はピンと伸びきる少し手前ぐらいの力でカチッと押さえています。
一方、黄色の方は緩いけど落ちる心配はないぐらいの強さで押さえています。

さて、響きに違いが出るのだろうか。出るとすればどちらの響きが良かったか。気になるところですが、
結果は黄色の方が断然良かったです。締め付けすぎると振動が殺されるのかもしれません。


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尺八の太さ [尺八改造]

尺八の材料として使われる竹は真竹です。直径3~4㎝ぐらいで幹が鮮やかな緑色をしています。

同じぐらいの太さで幹が淡緑色の淡竹(はちく)というのがありますが、これを使うことはほとんどありません。

孟宗竹は海神道(わだつみどう)の方たちが使う尺八の材料になります。

見分け方ですが、孟宗竹は見ただけで分かると思います。
真竹と淡竹は同じぐらいですから見間違える人がいますが、竹林を見た時に灰色っぽい緑色にみえるのは淡竹で、真竹の竹林は全体が鮮やかな緑色に見えますから区別はつきやすいです。

さて、reizanの尺八ですが、もちろん真竹です。30年以上使ってきた愛管は細身で、外径が30.5㎜、重さは(接着しているリーフレックもどきを除くと)約290gです。

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その5年後ぐらいに買った尺八は外径が35㎜ぐらいでごく一般的なサイズです。重さは約400gもあって細身のものより110gも重くなります。

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細身の方が軽いのと、何回も改造も重ねてどんどん音が良くなりこればかり吹いてきました。
ところがコロナ禍で時間を持て余したので、太い尺八の改造にチャレンジしてみました。

細身の方が張りのある音で鳴るのに比べたら気の抜けたような音しかならないからずっと寝かせていました。(細身の方も最初はそんな感じでした。)

先ずは、歌口の角度(前面と上面に挟まれた部分)を細身の尺八と同じ101°に合わせました。reizanの場合は角度が101°のときがBESTです。(一般的には110°ぐらいがベストの方が多いようです。)

次に、歌口のエッジから顎当たりの角までの長さも合せました。ところが削り過ぎて唇が歌口に近づきすぎて情けない音しか出なくなってしまいました。

こういうとき以前だったら、ゼリー状の瞬間接着剤に柘植の粉を振り掛けて厚みをつけていたのですが、セメダイン3000で皮膚炎を起こしたことがあったのでその手は使わないことにしました。

どんな方法が良いだろうかといろいろ考えたのですが、結局、竹片を貼り付ける方法をとりました。

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少し厚めの材を貼り付けて、吹いては削りを繰り返して最適な厚みを探ります。
最終目標は、尺八を当てて吹いたら一発目から細身の尺八と同等かそれ以上の鳴りが得られることです。

しかし、そう簡単にはいきません。音源に合わせて曲を吹いていたら最初は調子良くても途中から詰まったような音になったり、尺八を顎に当てて吹いた一発目の音がかすれたりを何度も繰り返しました。

おかしいなと思いながら歌口を上から覗いてみたら、原因の一つが分かりました。
歌口のエッジと切り欠いた部分が平行ではなかったのです。貼り付けた竹材の厚みは均一にしていたのですが基礎が狂っていたらどうしようもありません。

歌口のエッジを見ながらの平行になるように竹片を削り、あとは少しずつ削りながら微調整をしてそこそこの音で鳴るようになりました。

そして、この尺八を吹音源と合わせていたときに気づいたのですが、細身の方で苦手だった4孔を3回以上揺る複符運指(同じ音高の16分音符が4つ以上)が嘘のようにやり易かったです。竹の太さで運指のやり易さが変わるということを初めて知りました。

ただ、一つだけどうしようもない問題点にも気づいてしまいました。
音源と合わせているときに気づいたのですが、音程がビッシッと合いません。チューナーで測ってみたら、太い方の尺八は調律がA=440Hzだったのです。

最近は三曲合奏でも特に断らなければ絃方がA=442Hzに調律されます。細身に尺八の方はA=442Hzになっているので良いのですが、太い方は大勢で合奏するときには使えません。

かなり浮(か)って吹いても442Hzには届きません。
だから、曲種によって使い分けることにしました。新曲や大勢での合奏曲の場合は細身のA=442Hz。
古曲で尺八が1人の場合は、絃方にA=440Hzで調弦してもらい、太い方の尺八を使うというやり方です。

楽器の方の調整はできたので早く三曲合奏できるようになるのが待ち遠しいです。


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音に触ってみる [尺八改造]

音は空気の振動だと言われていますが聴こえるだけで目に見ることはできません。でも多くの人はそれを信じています。

それって本当でしょうか。科学が発達すると見えないもの触れないものでも解明された結果だけを聞いて実体があるように錯覚してしまいます。

ドン・キホーテ(激安店ではない方)的に真実が気になる身としては耳以外の五感で振動していることを確認しないと信じられません。かといってオシロスコープで見るというのはマジックかもしれないからダメです。

この問題は長年の解決されないままだったのですが、ふとした切っ掛けで解決しました。

尺八の裏孔(第5孔)を改造しているとき、途中の音出し確認の際に他の指孔の影響を完全に排除するために第1孔から第4孔までの孔をセロハンテープで塞ぎました。

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第5孔にはテープを貼っていませんから、そこだけ指で塞いで吹けば「ロ」(D音)が鳴ります。

途中何度か試奏をしているときに、ふと、普通に尺八を吹くように構えて指先で軽くテープに触れている時がありました。その時に指先に当たっているセロハンテープが震えていることに気づいたのです。

それでようやく、音は空気の振動だということを確認することができました。これで確認すべき課題が一つ解決してすっきりしたのですが、まだ、世の中には本当らしく言われていながら真偽のはっきりしないことがたくさんありますから先は長いです。


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尺八の管径改造 [尺八改造]

reizanの尺八は細身で外径が約30㎜しかありません、一般的なのが35㎜前後ですから、その分軽くてラッキーと思っていました。

それに、尺八を構えて吹いたら絶対外れることなく必ずなってくれますからもうこれ以上のものはないと思っていました。

ところが新型コロナ禍の自粛期間中に時間が余ったので、今まであまり使っていなかった尺八の歌口部分を改造したら、細身の尺八には敵いませんがそれでもかなり鳴るようになりました。

ていうか、最初は強い音で次は弱めにするというのが苦手でどれも同じように鳴っていたのが、今回改造したのは思うままに強弱の反応をしてくれます。古曲を吹くときには音の大きさも大事ですが、こちらも欠かせません。

そこで思ったのですが、細身の方は主に新曲、現代曲にあてて、古曲は今回改造したのにしたら良さそうです。
それともう一つ気づいたことがあります。それはある程度の管径があった方が速い複符運指がしやすいということです。

細身の尺八では、速いテンポで「チ」の16分音符が4つ以上連続するのが大の苦手でした。苦手な部分を繰り返し連取していたら指が釣りそうになったぐらいです。

ところが管径が35㎜あると、たった5㎜の差なのに指が動かしやすくなりました。

尺八が良くなっても速い「チ」の連続に関してはreizanは初心者みたいなものですから、これから練習を重ねなければなりませんが、希望の光が見えてきたのは確かです。

そこで思ったのですが、細身の尺八も裏孔(第5孔)の当たりを盛り上げてやれば、左右の肉厚が無くても太い尺八と同じ感触になるのではないでしょうか。

思いついたらやってみるが取り柄ですからすぐにやってみました。

やってみたのは直径10㎜の孔を開けた竹片を作り、

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これを貼り付けて嵩を稼ぐという方法です。しかしこれは上手くいきませんでした。
上手くいっていれば最低音の乙「ロ」を鳴らせますが、隙間があると絶対に乙ロは鳴りません。(乾燥で竹にひびが入ったときに気づくのがこれです。)

セロハンテープで塞ぎ、すべての孔も塞いでやってみましたが、目に見えないところにすき間ができているみたいで上手くいきませんでした。

だったら孔のまわりをガムで塞いだら漏れがなくなるのではと思ってやってみました。

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指孔を塞いで吹いてみたら、乙の「ロ」がしっかり鳴りました。孔の回りを少量のパテで埋めてやれば良さそうだということがわかりました。

ずっとガムのままではいけませんから、これを取り除いて最適なパテを探すことにしました。

そこで気づいたのですが、ガムを実験に使うのはダメでした。靴底にくっついたガムと同じで取るのにかなり苦労しました。(ガムがくっ付くところに養生テープを貼っておくべきでした。)

孔径10㎜で薄めのパッキンがあれば使えるかもしれませんので、それも探してみようと思います。


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尺八の管径改造できました [尺八改造]

reizanの細身の尺八を使いやすくするため、尺八の裏孔部分に竹材を貼り足して管径をアップしようとしていますが、接合面がぴったり一致せず空気がもれてしまってなかなかうまくいきませんでした。

ガムを使ってすき間を埋めてみたら空気漏れはなくなりました(既報)が、ガムではずっと使い続けるわけにいきません。

そこで、水栓金具を袋ナットで接続するときに使うG1/2のパッキンのうちでゴムが柔らかめのを見つけてこれで試してみました。
結果は思った以上にゴムが高くて竹材が2㎜近く浮き上がってしまったので、この状態で接着するのは無理と思って諦めました。


さらに、魚の目パッドを2枚重ねてみました。

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一応、乙ロも出ました(隙間があると乙ロは絶対に鳴らせません)が、パッドがふわふわして長い曲を演奏するには心もとない感じでした。

こうなったらもう本体を削って竹材を勘合させるしかないと思って、作業にかかりました。
先ずは竹材をボールペンの軸で固定して、周りに鉛筆で線を引き位置決めをしました。

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そして覚悟を決めて、線を引いた範囲を鑿で削りました。

P_20200716_075906.jpg



その後、1孔から4孔までをセロハンテープで塞ぎ、竹材の孔もテープで塞ぎ、竹材を繰り抜いた部分に勘合させて吹いてみたところ甲ロしか鳴りませんでした。明らかに空気漏れがあります。

reizanの技術では三味線の棹を作る職人さんの技(三味線の棹は途中2カ所で接続されていますが継ぎ目がわかりません。)には遥かに及びません。

それでも本体を削った以上は何とかしなければなりません。そこで、最後の手段として、指孔の回りに木工パテを塗って空気漏れを防止し、それ以外の部分に木工ボンドを塗って接着させることにしました。そして念のため周りにも木工パテを埋め込みました。

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1時間後ぐらいに吹いてみたら、しっかり乙ロが鳴りました。それも以前より大きく響く感じです。

ただ、指孔が従来の倍ぐらいに深くなっていますから、第5孔を塞ぐときは指の腹の肉を指孔に食い込ませる意識で押さえないとロ以外の音で雑音が多くなりました。

その点だけ注意すれば、第4孔を連続して押さえる音も押さえやすくなりました。

あとは木工パテの汚れを乾ききらないうちに落としてやれば今回の作業は完了です。


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サウンドブリッジの長さ [尺八改造]

reizanは尺八の響きを良くするために竹材でサウンドブリッジを作っていますが、ある方に差し上げることになったときに、作り置きのもの(長さ43㎜)を試していただいたら、その方の愛管が7孔尺八のため中継ぎの下側のゴムバンドが運指の邪魔になりました。

それで干渉を避けるため、サウンドブリッジの長さを75㎜にして、下側のゴムバンドが第2孔と第3孔の中間にいくようにしました。
(指孔は片手ずつ、1と2、3と4という押さえ方をしますので、2と3の間はフリーです。)

その結果、問題なく運指できるようになり、ずっと愛用していただいています。
そこで、reizanの43㎜を75㎜に替えたらどうなるだろうかと、ふと思いつきました。

思いたったら吉日です。

すぐにやるのがreizanですから、75㎜のサウンドブリッジを作ってみました。上に載っているのが43㎜のです。

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面倒だったのは下巻側の接触面の削りです。サウンドブリッジを長くすることによって下管側が節の近くまで近づくので、節に向かっている盛り上がっている竹の面にサウンドブリッジの角度を合せなければなりません。それに尺八の丸みにも合わせなければなりませんから大変です。

隙間の出来具合を確認しながら、そのすき間がなくなるように削るのですが、確認したときと削るときでは位置関係が逆転するので間違えないようにするのに気を使いました。

吹奏比較をした結果は、75㎜の方が断然良かったです。43㎜でも無いよりもあった方が良いのですが、75㎜だと乙ロの響きがもっと豊かになったように感じました。


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サウンドブリッジの長さ(2) [尺八改造]

reizanは尺八の響きを向上させるために洋楽の管楽器用に開発されたリーフレックを購入して、尺八に合うものを研究していましたが、かなりのところまで到達しましたので、寸法などのデータを残しておきます。

参考にさせてもらったリーフレックは、武士の陣笠のような形をした長さ数センチの部品を2枚重ねて管楽器の発音部と本体をつなぐ接続部を跨ぐように当ててゴムバンドで固定して使います。

これを使うと倍音が増え、響きが良くなり、音量も増しますから、それまで力んで吹いていた人はちょっと力を抜いてリラックスして吹いてもそこそこの音が得られるという優れものです。

だったらそれを使えば良いではないかとということになりそうですが、残念ながらリーフレックは尺八に使うことをまったく考慮されていないため使いづらいところがあります。

尺八は洋楽器と違って発音部と本体を接続するのではなく、発音部からずっと離れた真ん中ぐらいのところで接続されています。それに、そこは単につないでいるだけでなく楽器を保持するために中指で押さえる位置でもあります。

リーフレックを尺八の裏側にセットするとゴムバンドのビーズ玉のような留め具が中指に干渉してしまいます。
ビーズ玉が中指に当たらないように位置をずらすと、リーフレックが尺八の側面にくっついているような形になって違和感があります。

尺八用が売っていないのだったら自分で作るしかないと思って竹材でチャレンジしたのがサウンドブリッジです。

最初は、竹片の中ほどを繰り抜いたものを2枚重ねて中継ぎ部を跨ごすだけのものをつくり、2つのゴムバンドで留めていました。

初期.jpg


そのうちに尺八とサウンドブリッジの接触面が、その広さよりも確実に接触している方が大事だと分かり、四脚にしました。(下図のB)

P_20200520_161454.jpg
これで終わりと思っていたら、サウンドブリッジを差し上げた方から7孔尺八の場合中継ぎのところに穴があるので、下側のゴムバンドがもっと下方になるようにしてほしいとの要望をいただきました。

その場合にネックになるのが節の位置です。節に近いところは微妙な傾斜で膨れているのでサウンドブリッジの接触面をそれに合わせるのは難しいから避けなければなりません。

結局、その方の尺八の孔位置や節の位置を計測して、全長75㎜のサウンドブリッジを作って差し上げました。
吹いていただいたら43㎜のものよりも音がもっと豊かになったように聴こえました。

そこで、自分用に節を超す95㎜のものを作ってみました。(長さは孔位置と節の位置を見なければならないので、他の尺八では節を越せないケースもあります。)

reizanの愛管には43㎜のサウンドブリッジを木工ボンドで接着していたので、その脇に95㎜のをセットしてみました。
吹いてみたら今まで以上に豊かな音になりました。

これは良いと思ってその位置に木工ボンドで接着しました。
ところが、あとからつけた方のが上管を押さえる手に隠れきれず下の方が脇にはみ出して、演奏を見たくださっている方からまる見えになります。

これではみっともないと思い、すべてのボンドをスチームで剥がして95㎜のだけを真裏に接着し直しました。

ところが、吹いてみると先ほどのように豊かに響きません。特に乙ロの響きが劣ります。
接触面に問題はないはずだし、原因がわかりません。

そこで念のために、43㎜のをゴムバンドで留めてみました。当初のと比べるとサウンドブリッジの左右が入れ替わった形です。それで吹いてみたら乙ロが豊かに響いて、他の音も問題ありません。(短い竹片を足して、なぜ最低音の乙ロの響きが良くなったのか、その理屈は不明です。)

理屈がわからなくても良いものは良いですから、結局、43㎜の方も木工ボンドで接着しました。
今度は43㎜の方が竹からはみ出していますが、上管を押さえる手の陰に隠れてしまうのでお客様からは見えません。

結論としては、長短2個のサウンドブリッジを使うのが一番良いということがわかりましたので、1尺6寸管も同じような加工をしました。

もう1本の1尺8寸管(B)は長い方が75㎜なので、95㎜が良いのか確認したあとで接着することにして、取りあえずゴムバンドで留めています。

今回確認したサウンドブリッジの寸法は次のとおりです。

サウンドブリッジ寸法図.png

現物はこんな感じです。寸法図と同じ順番で表裏を表示しています。

P_20200724_093824.jpg
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《1尺8寸管A》
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《1尺8寸管B》
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《1尺6寸管》


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尺八スピード [尺八改造]

楽器の音響補助具の新しいのを見つけました。「フルートスピード」(吹き比べは、ここ)と言います。
指輪の3分の1を切り欠いたような形でフルートの管尻に嵌め込むと音質が変わります。
(reizanの印象としては、散漫だった音が丸くまとまる感じです。)

フルートに役立つのだったら、同じエアリード楽器の尺八にも使えるのではないかと思いました。

ただし、フルートの筒穴はずん胴でほとんどが内径φ19と決まっていますからフルートスピードのサイズは一種類で済みますが、自然の竹を使っている尺八は管尻の穴のサイズが1本ずつ異なりますし、末広がりにテーパーのついているものもあります。これではかっちり成形されたものは使えません。

ある程度の厚みがあって曲げやすく反発力のあるもので、尺八を傷つけないものだったら使えそうです。
その条件にかなうものとして見つけたのが、ワンカップ日本酒のポリエチレンの蓋です。(付いている意味が良くわからないものですが、多分、積み重ねたときの緩衝材なのかなと思います。)

蓋の平らな部分から、幅5㎜、尺八の管尻の穴径の2倍の長さを切り取り、巻き癖をつけて、尺八の管尻に嵌め込みます。切り欠きは裏孔の方向に向けた方が良いようです。
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これで一応出来上がって効果も確認できたのですが、管尻のテーパーのせいでちょっとしたはずみに外れてしまいます。
最近、尺八の発表会(一人ずつ演奏する)のときに小さく切った養生テープで留めてみたのですが、それが悪さをして雑音が混ざり、がっかりな演奏になってしまいました。

それで結局、尺八には無理だという結論に至りました。でも、何かに使えないかと考えていて良いことを思いつきました。

塩ビ管尺八への応用です。竹の尺八では塗り物で下管の内径を狭くして良い音が出るようにしているのですが、塩ビ管尺八の場合はずん胴のままが多く、絞りたい人は管をつぶしていますがそれでは見た目が悪いです。

もし、ずん胴のままで管を絞ったのと同じ効果が得られるようになったら素敵だなと思いました。
その為には中に何を嵌め込むかが問題です。寝ながら考えていたときに良いものを思いつきました。1サイズ小さい塩ビ管が使うことです。これを「尺八スピード」と名付けました。

話しはちょっと横道にそれますが、20㎜の塩ビ管は内径が20㎜で肉厚が3㎜ですから外径は26㎜です。
reizanが中に入れようと思ったのは16㎜管です。肉厚はこれも3㎜ですから外径は22㎜となります。(誤配管を防ぐためサイズ違いの管はそのままでは絶対に繋がらないサイズになっています。)

20㎜の穴に22㎜は入りませんが、3分の1を切り欠いたら無理すれば入りそうです。(無理して入れるということは反発力で取れにくいということにもなります。)

それをやってみて上手くいったので手順を残しておきます。

尺八スピードのつくり方
1)16㎜の塩ビ管を3㎜幅で輪切りにする。
P_20201011_134812.jpg
2)外周上に始点を決めて印をつけ、そこから42㎜(3分の2)のところに印をつけ、印のところを切って切り欠きを作る。(万力で挟んで作業するとやり易い。)
P_20201011_135041.jpg
3)2で出来た尺八スピードを塩ビ管尺八の管尻の穴に当て、切り欠きが裏穴のほうを向くように位置を調整して、プライヤーなどで締めながら穴に嵌め込む。(写真の尺八は塩ビ管の回りに、裏面に接着剤が塗布されたビニールシートを貼り付けている。)
P_20201011_135808.jpg
4)一応吹いてみて、次に切り欠きの位置を変えながら吹いてみて一番好きな音が出る位置を見つける。

このままでは露通しがつかえないので、次に尺八スピードを接着剤で固定する。
5)尺八スピードをその幅の分だけ中に押し込み、露出した塩ビ管尺八の穴に塩ビ管用の接着剤を塗り、尺八スピードを素早く元の位置に戻す。


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